2011/09/19

TOSO-WithCurtains2011:東リさま

東リさんの展示解説です。

デザインについての解説は、ヒデキさんのブログ、こちらをどうぞ。
http://blogs.yahoo.co.jp/petbottol/52379714.html




頂いた元画デザインを忠実に再現するのが楽しかった作品でした。
ぱっと見は一般的なスタイルの進化版といった感じですが、通常の縫製仕様と今回の仕様、
細かい所各所で違い・工夫がされている物です。
この作品で「おかしい」所をどれだけ見つけられるか、通常の仕様を理解されている方ほど
沢山色々な場所で、その工夫を見つけられたのでは無いのでしょうか?

いや自分も未熟で、、、普通のやり方でイケルだろうと思って失敗色々しましたよ・・・orz

先ずは一番目を引いた巨大リボン。
デザインで足が踊っていたので、やっぱり同じ様に踊らせたい。


この状態にするために。踊る足を作成します。

重力に逆らいつつ、取り付け場所はレールなので、軽くしなやかにしなければいけません。

チョイスしたのは、段ボールとFRPのポール。
今回ポールは、話のネタにと農業資材でビニールのトンネルに使用するNEポールを使用しました。
ダンポールがメジャーですね。(どうでもいい)

シャープシェード用のFRPポールが出ているので、そちらを使って頂いてもOKでしょう。
段ボールは紙製でなく、プラダンや、今はポリカーボネート製の段ボールが出ていますので、
こういった展示会等イベントでのスポット展示以外なら、そういった資材を使われるのが良いです。


岐阜の畑に使われるはずが、なぜか東京国際フォーラムに行くことになった農業資材。


段ボールだけでは、ポキンと折れ曲がってしまいますが、ポールを足すことで、軽いまま。
驚きの強度になりました。計算通り。


この頃はまだ余裕があったので、見えない所までしっかり。綺麗に色まで塗っちゃっています。
写真のように、ワタを乗せてから生地でくるみました。


生地は、形の都合上、手でまつり縫いをしていくしかありません。
なんだかんだで一番便利な道具は「手」


足のパーツを作ったら、今度は接合。
根元はかなりの強度を要しますので、




アクリルの板でポールを挟み込み、接着剤とボルトで完全に固定します。
挟み込んで強度を稼ぐ組み上げ方は、2x4の材木でベンチやテーブルを作るDIYの手法ですね。


水平にしても全く平気な強度で製作が出来ました。しかも片手で持てるほど軽いです。


あとは、余分な部分をグラインダーで削って~


色を塗って~


レールに挟み込むパーツをこれまた鉄板をグラインダーで削って作って~


レール取り付け部分完成。
写真の段ボールが挟まっている金具部分にレールをセット、ボルトで挟んで固定させました。

縫製というか工作ですよね。
「舞台道具の美術屋さんみたい」と何方かがおっしゃられていたの、ほんとその通りです(苦笑


足が完成したら、リボン本体。
こちらはマジックテープのベルトを裏に作って巻いて止めただけでした。
角度を付けて固定でしたので、足部分とリボン部分の間には、ブチルゴム系の両面テープを。
(テープは、厚みと、粘着というか滑り止め効果を狙ったチョイスです。)

写真取り忘れました・・・







さて、こちらのシェード。ルーススタイル、ボックスシェード、フリルなしのバルーンだとか、
色々な名前があるスタイルなのですが、今回は裾のカーブを浅くしたいとのこと。


カーブの懸垂曲線を計算してその長さで作った物がこちら。


内寄りします。。。orz

思い通りにならなければ、なるようにする工夫を。
今回こんな体育会系の格言がいっぱいです。


写真は、シェードメカに使う六角シャフト。曲げて塗装中。

アルミ製なので手で簡単に曲げられます。
作業台の角を使って、あとは手加減だけで綺麗に均等に。

最後に頼れるのは自らの「手」!!


イメージ通りのカーブを描けました。

キータッセルは、シェードの均等割リングテープを裾に縫い付けています。
一個一個縫い付けていかなくても良い&カーブに合わせ見た目均等に付けていける。
(直線で均等に付けると、山谷部分で不均等な並びになってしまいます。


均等割りのリングテープ。6mm間隔でS字リングや今回のキータッセルを取付出来ます。

トーソーさん、シェードの仕様、現状は上からリングテープ縫い付けになっているので、
均等割の対応は特に考えていないとのこと。
他社製資材でもデザイン実現のためならと、了解頂けました。
おかげで製作の簡素化と綺麗な仕上がりの実現が叶っています。




さて次は、ドレープ裾のボーダー部です。


つなぎ合わせるか、生地上にオンするか、縫製の仕様で皆さんに是非覚えて頂きたいことです。

巾継ぎでボーダー:タテ方向に2枚つないでいく
生地上にオン:本体にボーダー部分を乗せて2色に

今回は、裏地付きでボーダー部の裏側縫い目が見えない&なるべく綺麗なラインを重視したいので

こちらの巾継で対応しました。


ボーダー部、裏側。
ジョイントして耳を濃い色の生地側に寝かせてあります。(今回は黒色側)


表から見るとこの通り自然なラインがぴしっと走ります。

チョットした誤差でもヨレ感が出てしまうので、基本的な縫製スキルを要求される部分です。

ボーダーの繋ぎ目が入ると、またかなり難易度が高くなってしまうので、今回この黒色の
ラインは、生地を横使いさせて頂きました。
本体片側あたり1.5巾使い(ジョイント部を隠す縫製をしているので、実際は2巾必要)
1.5巾使いに対して、黒の帯は横使いして1巾で繋ぎ目なしにしています。

裏地無しの場合は、裏側の処理のお好み、また必要要尺の都合で、本体を上から下まで
作った後に黒の帯を乗せるというやり方もアリです。

※上に乗せる場合は、ヒダの山谷のカーブ、内側外側の歪みから、縫い目のヨレは多く出ます。
今回は、巾継ですので、それほどヨレは目立ちません。


こういったベーシックな縫製の違いも是非見てあげて~~~


ベーシックな、といえば、テール部分。




見た目縫い目がまったく見えないようにお仕立てしているんですよ。


白黒ツートンだったので、型紙の作成時からアレコレと計算して仕上がりをイメージしながら。

こういった余計な縫い目を見せない技術も縫製の基本です。






さて、こちらはヒダの部分。セッティングの都合であまり分からなかったのですが・・・
(搬入セッティング時についに体調を崩して、しっかり出来ませんでしたすいません)

200mmのヒダです。
こんな大きな芯地は無いので、不織布のシートを切って芯地にしています。

ただ不織布でかなり大きなヒダですので、1つ1つの山はヨレヨレと。
そのままでは、綺麗ではありませんでした。

ので。


ヒダの山分のプラスチックシートを用意。
写真はPP(ポリプロピレン)の板。材質は何でも良いです。
ランプシェードを作った時の余りです^^;

PPは耐熱温度が他の樹脂より高めなので、ランプシェードにお勧めです。
(電子レンジに入れられる容器ですね)


ヒダの中、3山ですから3枚入れて、ヒダを立たせています。
こんなトコも手を抜かず・・・よくわかりませんでしたが・・・



今回のデザイン、パーツを色々と組み合わせるスタイルは、取り付け時の都合を
しっかり把握しなければいけません。



今回は、手前レールをバランス用ポールとして取り付け、奥のレールをドレープ用に。
オープンスワッグをポール巻き込みで固定ですので、ブラケットの取り付け位置が、
スワッグの取付位置に干渉してしまいます。


写真のように、ダブルとシングルのブラケットを組み合わせてレール取り付け。
それぞれのパーツが矛盾無くセット出来るように考えています




このようなレール取付指示でセットしてもらいました。







柄位置だとか、巾継の位置だとか。
そういった基本的な部分も丁寧にお仕立てできた作品でした。





この美しい曲線でゴハン3杯食べられます。

OZONEでも工場と同じクオリティで展示出来るよう、がんばりますね。