2011/09/29

TOSO-WithCurtains2011:川島織物セルコンさま

川島セルコンさんの展示解説です。


デザインの解説はヒデキさんのブログこちらをご参照下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/petbottol/52407253.html





どの部分もバランス良く手が加えられたので、どれから説明しようか迷います。


話のネタ的には、この裾部分が1番かな、と。

ヒデキさんのブログで話が出ていたように、ドレスの裾デザインをカーテンに持ち込みました。
結構ワイヤーを使ったデザインがあったのよねぇ、今回。

初回打ち合わせ時に依頼頂いた試作が、思いのほか気に入って頂けて・・・

「今年のWithCurtainsは、香港アクション映画(ワイヤーアクション)が裏コンセプトで」とか、
ボク訳のわかんない事言ってました、はい。



このワイヤーを入れた裾、面白いんですよ。
自由な方向に曲げて固定できるので、スタイリングする方の思うがままの形を表現出来ます。


これがですね、最初に安易に考えた下の写真の部分ですと・・・


最初の試作のワイヤー入り裾。

普通、端に入れれば良いよねと考えると思うんですよ。自分は少なくともそうでした。
2次元、平面的な物なら端でも良いです。後述の五洋さんのシェードがそうですし。

ただ、カーテンのヒダ。3次元的な方向にカーブを描く物の場合、端だと非常に厄介なんですよね。

一カ所いじると、どこかで歪みがでてしまう。
写真はなんだかあっちこっちがヨレヨレしています。
一カ所直すと別の所が暴れ出してしまうんですよ。



完成品は、ワイヤーを入れる場所がミソで、写真の場所に入れています。


裏側から見た写真です。

歪みはでるんですけど、その先に生地が続き、距離を置いて輪郭の端があるので、
その余裕分で、ヨレを(目線から)逃がしてくれます。
パープルの裾ボーダー生地は芯地を入れてコシを出しています。


表と裏の写真

この裾ボーダーは、「重なった感」を出すようにつなぎ合わせています。

と。

今回の様に、窓の遮蔽機能はシェードに任せ、両端に固定させた飾りとして使うのは
普通にアリなんじゃないかな。バランスのテールに使っても面白そうです。


この裾は大きく斜め直線にカットしているのですが、

こうして糸チョークを引いて直線を出しています。
バイアス部分や、キッチリ水平・連続した直線を引くときに重宝します。
大工さんの墨出しみたいですよね。






さてこちらのバランス。
レールにぶら下げて飾るのって無い?ですよね。
ニシガキバランスとかって、ネーミング権利あると思います(苦笑

今回の作品全般なんですが、見た目のデザイン再現ももちろん大変なんですけど、
かなり各作品の重量を気にして製作をしています。
この場合は、ランナー4個でぶら下がる&ぱりっとフラット。

ですから、ベースとなる部分は発泡スチロール製です。




発泡カッター大活躍。




生地も土台に合わせてカット&縁を縫っていきます。


裏側は、フックに取り付ける必要がある&製作効率重視の為プラ板貼り付けとさせて頂きました。
本当は全面生地貼り合わせとしたかったのですが、手で纏る必要がありそこまでの時間が取れません。





展示会のお仕事って、その工場の最高のパフォーマンスでと想像しがちですが、開催日に合わせ
限られた時間の中で、皆さんが見たことが無い物、つまり工場でも作った事が無い物を作ります。

最高の仕様、満足行く仕上がり、とはいかない色々な事に対してギリギリの線での妥協が・・・
バランス取りながらの選択。これが結構ですね、フラストレーションになります。





話がそれました・・・



生地をくるんでいくのは手作業です。みんなでコツコツ。
正面部分は、いきなり発泡スチロールではなく、間にワタを1枚しいて膨らみを出しています。




裏側は、グルーガンで接着とさせて頂きました。



フラットな帯状の部分中身は、また発泡スチロール。
シート状の板を切り出して心材としました。
こちらは形の都合上、一辺は手でまつり縫いをして綴じています。

ミシンだけで、ガガーっとは出来ないんですよ。




各パーツを組み合わせてバランス完成。





分かってしまうような気もしますが・・・

ちょっと公にはし難い機材を使って部品の固定をしています。

気になる方は、何かの折に直接お尋ね下さい^^;







ラッパ型のスカーフは、もちろん縫い目を隠して。
これまた曲線で2枚合わせの入れ子とか・・・
結構基本スキルが高くないと綺麗に収まらないんですよ。



ツインのシェードは、ちょうど良いテストケースになりました。
皆さんのお仕事で使える知識になるかもしれません。

シェードでボーダーを入れる際の注意点です。


写真は、ブラウン・マルチストライプのボーダージョイント部分の~







上の写真は悪い例。ボーダー左側だけに昇降コードを通しています。
すると、右ジョイント部分のハリが強く、写真のようにたたみ上がりが真っ直ぐになりません。

全体の規格上は、このジョイント部分にコードが無くてもOKです。
(4スワッグ、コード数5)

ただし、ボーダーのジョイント部にはなるべくコードを通して、しつけよくしたい&
もう一度グリーンの生地に戻ってから、脇の端、と。
このデザインの場合、構造上必要なコードの割り振りで、5スワッグ・コード数6にしてあります。




(構造的に)中途半端な位置に、(構造的に)中途半端なボーダーをデザインされると、巻き取り
ドラムの取り付け位置の寸法上の制限で、綺麗なコード割り振りが出来ない場合があります。

巻き取りドラムのレール内収まり寸法や、生地端~コードの寸法を計算に入れながら、デザイン
のボーダー割り振りをすると、トラブルがありません。

今回は、不均等の5スワッグとして、問題無く綺麗にお仕立てが出来ました。