2011/10/01

TOSO-WithCurtains2011:五洋インテックスさま

五洋インテックスさんの展示解説です。

デザインの解説はヒデキさんのブログこちらをご参照下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/petbottol/52412907.html






上から順番に説明です。先ずはバランス。


こちらも、原寸の型紙をお送り頂きました。
こんな曲線オンリーのデザインはちょっとした角度の違いでもきっとニュアンスが変わってしまうので
この”原寸”というのが、正確なデザインの再現にはほんと確実です。

レールの取り付け位置をチェックして構造を決めながら、切り抜き用の型紙を作ります。
ここでもトレーシングペーパーではなく、障子紙。経費削減です・・・


石のパーツは発泡スチロールです。
軽く作ると設置時の強度に不安が無いのもあるのですが、個々のパーツの取り付けも容易に。


ざっと仮で並べた所。これだけでもなんだか壮観ですよね(苦笑


発泡スチロールではゴテゴテしてしまうので、ワタを挟み生地でくるみます。


各パーツをどんどん作って~。


骨組みとして、アルミの細長い板を2本。
パーツ配置と表から見えないライン、それに全体の強度の折り合いを考えて。


ここでは初期固定用でグルーガン、それに高機能接着剤(ただし硬化時間長め)を
組み合わせて接着しています。


川島セルコンさんのブーケと同様に裏側は生地でくるまず、板の張り付けで対応しました。
(この板は、スチロール板)
アルミの骨組みから板へ、板からパーツ全体を接着で支えるという構造です。
ここは作業効率と強度の折り合いで簡素化した作りです。



で、組み上げ完成。
アルミの骨組みにニューバランスをビスで固定し、ブラケットで普通に取り付けられる様にしました。

生地
 |
ワタ
 |
発泡スチロール
 |
アルミ板
 |
樹脂板
 |
ニューバランス

という順番で重ねています。





このようなデザインは、柔らかい・のびる生地が向いています。
フジエさんのタフタのような生地は向きません。シワが非常に入ります。
逆に、この生地でスクエアなゴブレットの製作は向かないかも知れません。

生地の特性によってスタイルの向き・不向きがあります。



ただ、逆手にとって、“あえて”というのもデザインの手法の1つかもしれません。
大事なのは、生地特性を理解するという事だと思います。







さてこちらのシェード。悩んだといいますか、調整に非常に手間取りました。


こちらも原寸の型紙を用意して頂きました。

円のデザイン部分全面を板にして生地でくるむ形にしようかとも思ったのですが、
軽い板は総じて白ですとか色つき。
リリカラさんで使った芯地でも境目がきっと目立ってしまうと敬遠。
透明の板は、(塩ビやアクリル)この面積では重量がありすぎで、きっとシェードとしては
操作に難が。重量増で上げるのもツライでしょうし、下降時用のスピコンに不安があります。


そこで、シェード部材の六角シャフトで縁を取るという手法にしました。


これ綺麗に曲げられているでしょ?


レールを曲げる機材を・・・・使えないんですこれ。
基本1点を曲げる物ですので、こうした大きなアーチを描く曲げ加工には使えません。

ですので、作業台の角を使って「手で」曲げています。手が万能装置。

自分で曲げながら写真が撮れないので・・・・写真は無いです・・・。
夜中作業で誰もおきてないし(苦笑


こんな感じで、ココまでは完璧にデザイン通りの円を再現。


六角シャフトの規格は4m。このデザインの曲線は計 4.2m

この20cmに泣き、2本分割で最初に製作。ここから歯車が狂い出します(苦笑


あ、ちゃんと白で塗装してます、ハイ。



とりあえずシャフトを生地でくるみ、まち針で止めながら仮組み。




・・・・・

あれだけ正確に作ったのに、生地とシャフトのちょっとした誤差でひどくヨレが出てしまう・・・



ならば、と、シャフトからシャープシェード用の棒に変更。柔軟性があるので、生地に沿うかと。




こちらも1本で作れないので分割。繋いだところに力が掛かり、もう全然だめ。



ビスの頭を落としてシャープバーのジョイントにしたりと、手は掛けたものの、



最初よりは、かなりまともになったものの、このタイミングでOZONEさんでの再展示のお話。
で、やっぱりやめ。強度に不安がありすぎます。

写真の左はまぁ、良いんですが(見た目)右の円部分が折れてしまっていますよね。


で、最初の目論見に戻りシャフトで微調節しながらの仕上げに

・・・するも、生地を最終縫った時点で・・・

生地が縫い縮み。正確な円が描けなかったです。

アーチ部分の縫製は、糸目があっちこっちするので、正確な縫製は本当に大変です。
カーテンの場合、面積が大きいので、チョットした誤差がさらに大きく響いてしまいます。


解して縫い直し。



数々の調整を経て。




日の目を見ました。ホントに日が出てるわ。(外は朝

サテ完成。


たたみ上げたら、あれ・・・


一番下のリングより、補強用のシャフトの端が上に来ていて、綺麗に畳まれず・・・orz


組み上げた状態から無理矢理、金ノコでゴリゴリ余分な部分をカット・・・

で、やっとお見せできる物に仕上がりました。説明も長くなりますね。。。




なるべく軽量にと心がけたものの、生地だけよりかなりの重量アップ。
元々トーソーさんのスピードコントローラーには、若干の不安があったんです。

で、操作感、下げたときの動きにやはり難が。

WithCurtainsの総指揮を取っていらっしゃる大津さんに連絡。
すると、わざわざ開発部にまでお話を回してくれて、リリース前の新部品を手配してくれることに。


現在はリリースされています。新スピードコントローラー。

これかなり改良がされているようです。
スピードコントロール、動作音、共にかなり改良が利いていました。

こちらの重量級用のコントローラーを使用して、ばっちりな仕上がりになりました。






縁取りのトリムは、二重にして使用しています。大きいので、ボリュームを出していました。
こちらは、もちろんヒデキ&SHIOさんのアイデア。

色々なトリムを色々な使い方で飾っていますので、OZONEではそのあたりもチェックして下さいね。





長々と読んで下さった方、ありがとうございます。
ココまで読んで下さる方は、少ないかも知れません。
もし、スタイル物をこれから勉強したいという方で、こんな下の方まで熱心に読んで下さった
方だけが、得をする情報(になるのかは、わかりませんが・・・

今回・・・というか展示会ではかなり皆さん多用している手法、
カーブを描いた縁の仕上げに関してです。



これは、生地1枚では出来ません。

縁を描くラインに沿って、2枚の生地を縫い合わせひっくり返して袋状にしています。

お見積もりをする時は、カーブを描く場所の面積2枚分の生地を必要とします。
これ、重要。基本中の基本とも言えます。

「ビニール袋の底の部分をひっくり返した状態」というと理解しやすいと、おっしゃっていた方が
いらっしゃいました。良い例えだと思います。


色々な場所でこの手法を使っているので、こういった製作の手法も見てみて下さいね。





こちらのドレープもヒダの出し方は、非常にこだわっています。


こちらはヒデキさんの指定で、ヒダの量を重視。柄はランダムにヒダ山に出るように。

巾継位置はヒダ根元に来るように調整。

正確なヒダ取りをするときは、小数点まで計算した後、実際の生地と照らし合わせ、
まち針を打って、ヒダ・ヒダ間をチェック。それから生地のカットをしています。

パソコンを使った緻密な計算と手作業による手間暇。両方、どちらも必要です。