2015/08/15

インテリアデザイナーの住む家 投稿祭その3

さて三回目の投稿、「インテリアデザイナーの住む家」トーソー出版さん掲載ページP86などです。

ミツワインテリアの平多さんは、御自身も縫い仕事に心得があるのでトラブルに強いです。
年末のバタバタとしていた時に、実はこちらでとんでもないミスを犯してしまったのですが・・・
現場でリカバリーして頂けました。

縫えるに超したことは無いですが、縫える縫えないという話ではなく、トラブルに対応してくれるか否か、それがこうした一点物の製品を作る側としては、非常に心強いです。

どれだけ丁寧な指示書を書いて頂いても、現場を実際に見られず、デザインが決定されていったプロセスを知らない我々製造側が、一~数枚の指示書からスタイルカーテンを仕上げていくのは五里霧中、手探りで仕事を進めていかなければいけない部分もあります。

職人さんが仕事を断る理由の1つに「その仕事は難しいから」というのがあると思いますが、その言葉の裏側は「その仕事の責任を共有してもらえないから」というコト、あると思います。

心強いという部分で、前回紹介したdecoratorsさん、 D'Arc Decoさん、そして今回のミツワインテリアさんは同じです。

スタイルカーテンをスムーズに納める能力として、我々製造側が求めるのは、デザイン力よりもそういった部分かもしれません。

いや、今回のミスは超単純で、こんな偉そうな話にするなって怒られそうですが・・・ゴメンナサイ。


お納めされた折に送って頂いた写真。
「無事に収まりました」というその一言で、やっと我々は「終わった」と実感する事が出来ます。
出荷した時に終わりとは感じられません。
複雑な物ほど、自らの手から離れた分不安の方が大きくなるものです。





ドレープのスワッグに採用されていたフジエテキスタイルさんのウスライ。
非常に綺麗なスワッグが出来ます。

※光沢があり、しなやかですので、フラット系のスタイルには不向きな生地です。
光沢がある生地はちょっとのヨレでも大きく歪んで見えます。



サテ、製作のお話。
とはいえ、製作したものはオーソドックスなスワッグ&テールになりますし、書きたいことは書いちゃいました。平多さんありがとう~。





・・・・以上ですで終われないので一応続きます。

ちょっと切り口を変えた話題にて。




こちらは掲載されていたシアーのスワッグの方です。
前後の組み方やヒダの各バランスを確認。

一般的なスワッグの寸法の細部を決定する前に必ず行う作業です。
曖昧な数字のまま、型紙は出来ません。
ピンワークをするにしても、まず狙う場所を定める必要があるからです。


ここで注意しなければいけないのは、スワッグバランスの場合、輪郭は懸垂曲線であること。
時々半円(真円の弧)を描かれる方がいらっしゃいますが、両端から引っ張られた重力で垂れている曲線が、スワッグバランスの輪郭になります。


このヒモが垂れ下がる曲線です。


カーテン用のウェイトチェーンを利用。
重量・しなやかさ共に、非常に安定した輪郭の再現が可能です。

現場で輪郭を確認したい場合などにお勧めです。


曲線には色々あって、真円を切っただけの物の他、上記の懸垂曲線、放物線など色々。

放物線と懸垂曲線では

このように形が違うんです。



上記のこの画像で使用している曲線はベジェ曲線。
Illustratorの画面です。(ベジェ自体は様々なソフトで扱えます)


スワッグの輪郭とベジェ曲線の誤差については


Wに対してHが深くなるほど誤差が出ます。

スワッグバランスで使われるW/Hの割合で、実際に比べて見ます。

W800×H400程度の輪郭
ほんの若干の誤差がありますね。



W1000×H300程度の輪郭
ここまで来るとほぼピッタリの曲線になります。


梁やサッシ枠との兼ね合いがシビアな寸法の割り出しや、全体の見た目を正確にデザインする必要がある場合など、正確な輪郭が必要な時に使える描き方です。




インテリアデザイナーの住む家について、この投稿の補足です。
ミツワインテリアさんのページのお仕事全てを請け負ってはいません。
他の縫製屋さんのお仕事も掲載されております。